村の診療にお供させてもらっていると、今まで日本で学んできた"当たり前"がいかにハイレベルなものだったのか実感せずにはいられません。
手が汚れたら手を洗う。
米だけ食べていると栄養が偏って体を壊す。
子供をたくさん作ると家計が苦しくなる。
普通に考えて当たり前でしょ。と思うことが当たり前ではない場所があるんだなと実感しています。
教育を受けていないから知りませんし、親が知らないから子供にも伝わる訳もありません。
さて、今回はHealth Education(HE)にお供させてもらいました。
HEとは何かというと、衛生、栄養学、病気の予防、子作りの計画といった内容で
日本では小学校や中学校で習う家庭科や保健の授業のようなものです。
日本人なら誰しも一度は学んだことがある米は炭水化物、肉はたんぱく質、野菜はビタミンといった栄養素があることを村の人たちは知りません。
お腹が膨れればそれでOKと思っているため食事は米とンガピー(魚を発酵させたペースト状の国民的調味料)のみという人も少なくありません。
飲料水も清潔とは言えない溜池の水や井戸の水を使います。
人間も動物も同じ水を飲みます。基本的には一度沸かしてから飲むようですが、そのまま飲むこともそれなりにあるようです。
|
村の溜池 |
|
池から水を汲んで持って帰るお婆さん |
栄養不足や水の問題が原因で下痢を起こして、脱水症状で亡くなる場合があるようです。
下痢で人が死ぬなんて日本では信じられませんが、ミャンマーでは実際に起きてしまっています。
栄養状態が悪いため、5歳までに死んでしまう子供が日本の18倍もいるようです。
子供が死ぬことがある意味でここでの”当たり前”になってしまっているのか、子供をたくさん作る人が多くいます。
兄弟が4人5人いるのは当たり前で、8人兄弟の村人にも合いました。
子供が増えれば増えるほど、家計が苦しくなるのはごく当たり前のように考えてしまいますが、村人はそんなことは考えません。
その結果子供一人あたりに回る栄養分が減ってしまい亡くなってしまうし、満足な教育も受けさせられない悪循環も起こっています。
計画的な子作りのために妊娠のメカニズムの教育や、妊娠防止の薬も投与します。
子供が亡くなる原因は栄養不足だけでなく、病気の場合も多くあります。
特に多いのがマラリア、デング熱です。
感染源の蚊の発生を抑制するために家周辺の水のある場所を減らすことや、蓋をすること、蚊帳を使って寝ることを教えます。
ただやっぱり、生活習慣を変えるっていうのは難しいですよね。
自分も体に悪いのは分かっていても止められないこと、ついついやってしまうことがたくさんあります。
一度教えたからと言ってすぐに理解してもらえない。
理解してもらえてもなかなか習慣を変えられないのが人間なので、
実践してもらうためには何度も繰り返し説いて行くしかない、、、
自分には到底できない仕事です!