選挙の結果がいつの間にか公表されてたようで、国民の期待通りアウンサンスーチーさん率いるNLDが過半数を確保し政権交代するようです。
もっと町中でお祭り騒ぎになるかと思っていましたが、スーチーさんから騒ぐなとの指令が出ているようで驚くほどふつーーうの日々が過ぎて行っています。
そんな選挙後の週末に僧院でやってる寺子屋日本語教室に行ってきました。
ボランティアで無料で授業を、している先生が日本語の文章を読んで、生徒が大声で復唱したり、文法を説明したりしています。
生徒は30人から40人くらいで、小学生くらいの子供から30歳くらいの大人まで一緒になって勉強してます。
この日のテーマは"しゃっくり"で
"胸とお腹の間に横隔膜という筋肉の膜があり、呼吸をするたびに上下に動きます。"
といった文章をひたすら復唱していました。
日本に行ってもこの例文絶対使わねーよ!と思いながらも、自分もミャンマー語で横隔膜やらしゃっくりについて勉強します。
いつもは日本人のボランティアが5、6人いて、授業の終わり30分はミャンマー人生徒5、6人相手に日本人1人が付き、ミャンマーの文化や日本の文化などのおしゃべりをしながらネイティブ日本語の発音を教えてあげたり、ミャンマー語を教えてもらったりします。
この日は私ともう一名しか日本人がおらず、いつものおしゃべりができなかったので、先生が即興で簡単なゲームを始めました。
2つのグループに分かれてグループ内で息を合わせて拍手し合うだけの簡単なゲームです。
Aグループ: パン パンパン
Bグループ: パン パンパン
みたいな感じ。
先生は何の合図も無く拍手を合わせなさいと言いますが、できる訳もなくグループ内でもバラバラです。
でも、全員で向かいあって呼吸を合わすように、みんなの顔を見るようにアドバイスされると、不思議と次第にできるようになってきます。彼らの空気を読む力に感激しました。
次のゲームは2つのグループのメンバーで一番大きな輪を作ってください。というもので、何のひねりもなく皆で手を繋いで教室の半分くらいに広がっていきます。次に2つのグループ一緒に輪を作るように支持して先ほどより大きな輪ができます。
生徒に輪を作らせたまま先生が語り始めました。
『選挙が終わってこれからがミャンマーの一番大事な時期です。
この教室には、仲が悪い者、男の子女の子、歳が離れた人、そしてビルマ人、シャン人、ラカイン人、モン人、カレン人、チン人、カチン人、、、と色んな人達が混じってます。
それでもお互い呼吸合わせて、手を取り合って大きな輪を作っていかないとこの国の発展はありえません。
隣の人の事を想う気持ちが、隣の隣の人を想うことに繋がり一周回って自分に返ってくる。
恥ずかしいけども、ミャンマーはとても汚いです。みんなゴミをそこら中に捨てます。誰も周りの人の事を考えていません。
私達が語学を勉強している日本はとてもキレイな国です。日本人は絶対にゴミを捨てません。それは、日本人は周りの人を思いやる心を持っているからです。
私達はそういった日本の素晴らしい文化を学ばないといけません。
最初の一歩として、このクラスの人は絶対にゴミをポイ捨てしないことを約束しましょう。』
ということを日本語とミャンマー語で繰り返し説いていました。
リップサービスもあるだろうし、生徒への教育のために日本の良さを誇張している部分もちろんあるでしょうが、こうやって親日の人ができていくんだという場面を目の当たりにしました。そして、こんな教育を受けて日本に憧れた東南アジアの若者が日本に来た時に恥ずかしくない行動を取れているのか。彼らを失望させるような国になってしまっていないだろうか。と不安にも思いました。
私はミャンマー人先生がミャンマー人の若者相手に英語を教える学校にも通っていますが、そこでアメリカ人やイギリス人がこんなに素晴らしいんだという話を聞いたことは一度もありません。
ミャンマーを含めて東南アジアには親日国と呼ばれる国がありますが、親日になるには誰かがそんな教育をしてくれているからだという当たり前のことを忘れていました。
先生が熱く語り、生徒がキラキラした目でその話を聞く。そんなキラキラした目でこっちをチラチラ見てきます。
自分みたいなものは、そんな眩しいほど輝いた目で見られるような大した存在じゃないんだと、逃げの説明をしたくなるけれど、しっかり受け止めて彼らの期待を潰してしまわないようにしないといけないなー、とか思ったりした今日この頃でした。